ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

「な、なっ……」


言うべき言葉を完全に失った私は、ぱくぱくと口をひたすら開閉させた。

「やめっ……冗談、こんな時、やめてよもうっ」

もはや日本語として全く成り立ってない単語の羅列。
情けないと思うけど、仕方ないじゃない。

彼が変なこと言うからいけないのよ!


「冗談じゃない。本気だよ。物でも場所でも、使ったら対価を払わなきゃ。そうだろう?」

「だから、お金なら払うって――」

「それ以外のものを望む、って言ったよね?」

「でもっ……」

「料金不払いで、君の会社を訴えようか?」

「卑怯よっ!」

頭に血を上らせる私とは対照的に、ライアンは全く動じない。
クールな表情のまま、ひょいと肩をすくめてみせた。

「言っただろう。もう一度振り向かせてみせるって。そのためなら、手段は選ばないよ」


「……っ……」

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