ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「わかってるんだ。君を困らせてるって。でもどうしても……諦められない」
ゆっくり私の髪へ手を滑らせながら、自嘲気味に笑みを漏らす彼。
ぐずぐずと、何かが崩れていく。
張り詰めていたものが、緩んでいく。
ほぐれて、とろけて、
酔ってしまいそうな、その甘さ。
あぁやっぱり、私は。
彼が、好きだ。
こんなにも、好きだ……
もう駄目だ。我慢なんて無理。
ごめんなさい。
言って、いいですか。
好きって、愛してるって、言っていいですか。
言わせてください。
お願い、一度だけでいいから――……
「ライア――」
「ねえ飛鳥、聞こうと思ってたんだけど」
ふと思いついたように、頭上でライアンの声がした。
「君、ストーキングなんてされてないよね?」