ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
17. 打ち上げ~ライアンside

なんなんだ、このモヤモヤは。
グラスを手の中で回す僕の口から、拗ねたような吐息が漏れた。

チラリと目線をあげれば、テーブルの対角線上、端に飛鳥の姿。
向かい側の大河原と話し込んでいる。
彼女の隣は、矢倉だ。


銀座の創作和食の店で開いた、打ち上げという名の飲み会。
日本庭園に面した広い個室、掘りごたつ式のテーブルに、オオタフーズから大河原、樋口、YKDから飛鳥とラム。
そして矢倉と南波、サム、亮介と僕がそろっていた。

関係者全員参加という快挙は実に喜ばしい。
(声優のサイン入りフィギュアで樋口が大河原と飛鳥を誘ってくれたのは、非常にラッキーだった)

喜ばしいんだけど……

やってくるなり、当然のように飛鳥の隣というポジションについた矢倉へ、子どもじみた嫉妬を感じてしまう自分がいて。
さっきからうんざりし通しだ。


――いい、“彼”に来てもらうから。


あの後……彼女は矢倉に連絡したんだろうか。
2人は一緒に帰ったんだろうか。
その後は……

「Damnっ……」
口の中で小さく自分を罵った。

本当に、僕は彼女のことになると、どうしようもなくなってしまうらしい……

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