ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「本気なら、何をしてもいいっていうの? 自分の感情を押し付けるだけなんて、そんなのストーカーと変わらないでしょうっ」
「もちろん、振り向かせるための努力はするよ」
「それが、あれなのっ!?」
「あれ?」
「そうよっ! どんな手使ったのか知らないけど、セミナーの講師になって私を参加させたりっ……あれも、“努力”ってこと?」
あぁ、やっぱりバレてたか。
「そうだよ。せっかく“彼女”がまだ僕を意識してくれてるんだから、ここで一気に攻めていかないとね」
「意識なんて、するはずないじゃないっ!」
「じゃあそんなにカッカすることないだろ。意識してないなら、無視すればいい」
「だから、それじゃ駄目なんだってばっ!」
ダンッ!!
彼女がテーブルをこぶしで叩き、かちゃんっといくつかのグラスがぶつかった。
シン、とあたりが静まり返った。