ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

彼女の目は、みるみる丸く開き、
頬は紅潮していく。


「何、バカな、こ……」


言葉は、途切れ。
はくはく、と動く口から切なげな息が漏れる。
浅く乱れる呼吸が、彼女の揺れる気持ちを伝えていた。


これは、自惚れなんかじゃない。

確信だ。
彼女はキスを、拒まない。

その後頭部へ手を回して支えながら、僕は彼女を引き寄せた。


躊躇うように震えた瞼が、観念したのか、ゆっくりと降りていく。



さっき僕の欲望を掻き立てた桜色の唇が今、誘うように薄く開いて待っている。


叫び出したいほどの歓喜をギリギリのところで抑え。
僕は彼女に覆いかぶさった――……



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