ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

お腹に手をあてる。

ここに、まさか新しい命が宿ってるって言うんだろうか。

一体、いつ?
避妊、はしてたはず……だと思うけど。

もしかして……あの時、だろうか。
彼がおかしかった、あの夜?

でもその前だって、流されてしたことも何回もあったし。
正直なところ、毎回ちゃんとしてたかって聞かれると……


「週明けに、ちゃんともう一度、病院行けってさ」


あぁもう、そんなことはどうでもいい。


赤ちゃん。
彼と私の、新しい命……


「し、んじられない……夢みたい……」

最初は湧き水みたいにじわじわと。
やがて急流のように体の奥から勢いよくやってきて、隅々へ巡っていくもの、それは――凄まじい喜びだった。

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