ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「っく……っぅ……」
涙が、あふれた。
次から次から、こみ上げてくるそれを、どうしても抑えることができなかった。
嬉しくて。
幸せで。
プレゼントだと思った。
神様からの、プレゼント。
この子のために頑張れって、言われてる気がした。
彼がいなくても、
遠く離れてしまっても、一人でも頑張りなさいって。
うん、大丈夫。
耐えられる。
耐えてみせる。赤ちゃんのために。
涙をぬぐって、前を向く。
泣いてる場合じゃない。
弱音吐いてる場合じゃない。
ちゃんと栄養あるもの食べて、しっかり寝て……
身体はまだ怠かったけど、それ以上の強い何かに突き動かされるようにじっとしていられなくて、ベッドから降りた。
「おい、起き上がって大丈夫か?」
気づかわし気に眉を寄せる雅樹に、「平気!」とガッツポーズしてみせる。