ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「盛り上がってるとこ悪いけど、お前それ全部、産むって前提だよな?」
産む、前提?
奇妙な台詞だなと、私は首を傾げた。
「そりゃ、産むわよ。もちろん」
それ以外の選択肢なんかある?
それ以外。例えば……堕胎? ないでしょ。ないない。ありえない。
「リーさんには? 話すんだろうな?」
私はすぐ、首を振った。
「彼はシンガポールに行って、結婚しなくちゃいけないの。余計な心配させたくない」
妊娠したなんて知ったら、責任を感じてしまうかもしれない。
ますます彼は、私から離れられなくなってしまう。
彼が先に進めないような邪魔は、したくない。
「つまり、一人で産んで育てるつもりか」
「そうよ」
大変なことはわかってる。
それでも、産まないなんて選択肢は、最初からないもの。
「はっきり言うぞ。俺は反対だ」