ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
視線を揺らしながら、言葉に詰まった私だったけど。
翡翠の瞳の奥に、怒りとは違う、どこか悲し気な色を見つけた瞬間――もう、この人にこんな目をさせたくない……と、胸の奥ですとんと、何かが落ちたような気がして。
コクリと、頷いた。
「ででもっ、張さんのこと、怒らないでね。張さんは、お義父さんやライアンのことを本当に心配して――ひゃっ……!」
一瞬の後にはもう、彼の腕の中だった。
「ラ、ライアンっ……あの、わわた、」
「黙って」
後頭部を抱え込まれ、彼の胸に強く押し付けられる。
傲慢なほどの、強引さ……なのに、私の胸はトクトクと小躍りしていた。
まとわりつく馴染んだ香りに、もっともっと、と頬を寄せてしまう。
「よかった……君がまだ、僕のもので……」
心臓をむき出しにしたみたいなつぶやきに、きゅっと胸が引き絞られる。
きつく唇を噛んで、その甘い疼きに堪えていると。
頭のてっぺんに彼の唇が落ちてきた。
それは髪へ、額へ、瞼へと降りてきて……