ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
“張”の部分をやけに強調するのが腑に落ちなかったけど。
間違いないことなので、そのまま素直に首を縦にする。
すると。
彼が腰を折り、目の高さを合わせるようにして私を覗き込んだ。
「ありえないよ」
「は?」
「張が、そんなことを言うはずない」
言い含めるようにゆっくり繰り返される言葉に、パチパチっと瞬きした。
全然意味が飲み込めなくて。
言うはずないって……まさか彼は、私の言葉を疑ってる?
「私が嘘ついてるって言うの?」
「そうは言ってないよ。でも、張がそんなこと、“言える”はずがないんだ」
「そういわれても、実際、彼はっ……――」
「だって張はね、日本語が全く話せないんだよ」