ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

色っぽく息を乱した飛鳥が、僕の胸を押し返している。


「飛鳥?」

まさかストップがかかるなんて思ってもいなかった僕は、一体どんなプレイなんだと、彼女を見下ろした。

2人の不格好な呼吸だけが響く中――


「あの、ね。嫌じゃないの。全然、そういうわけじゃないんだけど……」


困ったように細くなった目が、キョロっと泳ぐ。
なにやら一生懸命言葉を選んでいるような……?

その手が、かばうように腹部へ置かれているのを見て――ようやく、ハッと気づいた。

「そうか……心配だよね」

急いで彼女の上から飛びのいた。

「ごめん、パパ失格だ」


すっかり臨戦態勢だった自分を必死でなだめながら。
項垂れて、ベビーに謝った。

妊娠中のセックスがダメだなんてことは、ないと思うけど……
経験がないから、いつ頃はいいとかいけないとか、全くわからない。

でも、心配しながらなんて、抱かれてほしくないし、抱きたくない。

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