ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
いずれ全部、話さなきゃと思ってた。
――変えられない過去にこだわって、世界一幸せな花嫁になるチャンスを逃すのは、ナンセンスだと思わない?
強気に言ってはみたものの、不安がまるでなかったかと言えば、そんなことはなくて……
彼女に倣って上体を起こし、その瞳を覗き込む。
そこに愛情以外の何かがあったら、と探るように。
「僕のこと……怖く、ならなかった?」
恐る恐る口にする僕に、驚いたように目を丸くした彼女が、「そんなわけないでしょ」と微笑んだ。
「子どもは親を選べない。それって、悲しいけど事実でしょ。だから、ライアンは何も悪くないし、気にすることない」
シーツの上、僕の手へ、彼女が自分の手を重ねた。
「ライアンが今、明るくて優しくて、すごく素敵な人だってことは、私もう知ってるし。それって、ライアンが過去を乗り越えて、一生懸命生きてきたってことだと思うの。だから、尊敬こそすれ、全然怖くなんてない」
「飛鳥……」
「私は、あなたに会えてよかった」
何か言いたいのに……
続く言葉が出てこなくて、焦った。
くそっ……僕はどうやら……
「……っ」