ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

「すみません、何のお手伝いもできなくて」

ライアンを放って、ひょこひょこと歩いてダイニングへ顔を出した私は、「わぁ」って歓声を上げてしまった。

テーブル一杯、すでにずらっと、お皿が並んでいたから。

「おいしそうっ!」

カラフルなピンチョスやカナッペ、キッシュにローストビーフ、……
お皿や盛り付けもすごく可愛くて、まるでおしゃれなカフェみたいなの。

うちでは一応、食事の担当は私だけど、残業の時は外で食べることも多いし、
疲れてるとついつい手を抜いてしまう。

「今日はみんなが来るから、頑張っただけ」
なんて奈央さん、笑ってるけど。

フリーライターっていう仕事を持ちながら、家事と育児もこなしてるんだもの。
私の何倍も大変なはず。
もっと頑張らないといけないなぁ、と反省する。

「何かお手伝いすること、ありませんか?」
「ううん、来てくれただけで充分。無理しないで」
「いえ、足はもう大丈夫なんです。湿布のおかげで!」

その後のマッサージが効いた、とは思えないけど。
もう痛みはほとんどなかったし。

本当は早めに来て、一緒に準備する予定だったのに。
なんのお手伝いもできなかったら、心苦しい。
そんな私の胸の内をくみ取ってくれたのか、奈央さんは笑いながら頷いた。

「じゃあこっちのスープ、分けてもらっていい?」

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