ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

あ、それは違う。
私はパタパタと手を振り、「そこは大丈夫です」と強調した。

「お義父さんもお義母さんも、すごく祝福してくれてて」
「そうなんだ、よかったわね!」

うん。
それは、かなりびっくりっていうか、衝撃だった。
彼らがこの結婚を喜んでくれているってわかった時は。

「飛鳥ちゃんのご両親は?」
「うちはもう、諸手を上げて大喜びです」

家族全員、彼を見るなりリアルに狂喜乱舞しました。
今年のお正月、ライアンをうちの実家に招待した時。

あれはものすごく恥ずかしくて、彼の顔、その場で直視できなかった。

「だから……」
言葉を探しつつ、レードルをギュッと握り締める。

不安を紛らわせるように。

「だから……たぶん、マリッジブルーってやつかもしれません。結婚するとは思ってなかったから」


幸せだからだ。
幸せで……幸せすぎて。
なんだか、全部夢を見てるみたいで。


ある日突然、蜃気楼のようにすべてが消えてしまうんじゃないかと怖くなってしまう――

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