ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
ピチャッ……ピチャッ
静まり返った部屋にひたすら響く、淫猥な音。
「ん、ふっ……や、っ……!」
ばたつく彼女の足を、全身で押さえつける。
「ライアン、や、嫌なの! 嫌だって、今日は――んぅっ!」
飛鳥は首を振って、涙ながらに拒むけど。
そんな顔で言われても男は煽られるばかりだと、彼女は気づいてないんだろうか。
あふれる涙から目を背け、セーターを一気にたくし上げる。
手首にまとわりつかせたそれは、まるでセクシーな手錠のようで……僕をさらに欲情させた。
露わにした白い肌へ、噛みつくように唇をつけた。
下着を押し上げ、鳩尾から胸の膨らみまで、舌と指でたっぷり味わう。
チラリと視線を持ち上げれば、
声をあげないよう、唇を噛みながら耐えている涙目の飛鳥がいて。
その表情はまるでセイレーンのように美しく、妖しく……僕の理性をドロドロと溶かしていく。
「逃げられないよ、飛鳥……君は、僕のものだからね」
自分のものだとは思えないほど、昏く淀んだ声で宣言して。
その後はもう、溺れるように愛した。
逃げようとする彼女の身体を、何度も引き寄せて、
執拗な愛撫を重ね、凶暴な欲望を注ぎ込む。
いつの間にか抵抗を諦めたらしいその体からは、力が抜けていて。
やがて素直に応え始め……僕の中に、凄まじい悦びが湧く。
たとえ君が、僕の過去を知っても。
たとえ君が、あの日何があったのかを知っても。
僕はもう……君を手放す気はない――絶対に。
心の中でつぶやいて。
深い深い快楽の海へ、ひたすらに堕ちていく。
飛鳥、君は僕から逃げられない。
たとえ君が、それを望んでも。