ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「だとしても、リーズグループほどの組織なら他にも適任な人が――」
「あなたは彼を、苦しめたいですか?」
「――……なっ」
苦しめたい? そういった?
何いってるの、この人……
「彼はご実家に多大な恩があります。受けた恩は、返さねばなりません。違いますか?」
むせかえるような嫌悪感が胸に突きあげた。
実の親子じゃないってことを言いたいんだって分かったから。
実の子じゃないのに育ててやったから、その恩を返せっていいたいの?
お義父さんは、そんなこと言うような人じゃない。
両側に下ろした手を強く握りながら、努めて冷静に、口を開いた。
「彼が養子だということは、知ってます。でもっ――」
「そうですか、ご存知でしたか。でもこれは、知らないでしょう? ライアン様が、マフィアに育てられた子どもだった、という話は」
――……え……?