after「恋がしたい。ただ恋がしたい。」
だって、だって、これって、まるで…………


「だから、『結婚するよ』ってさっきから言ってるよね?」



……プロポーズ……しようとしてくれてたんだ…………



「ほんと、失敗した。仕事してる時でも着けてもらえるように、なるべく邪魔にならないデザインにしたら、まさか今までの指輪と違うって気がついてもらえなかったっていうね……って、あーあ……」



ボタボタボタボタ…………



顔も覆わず大粒の涙を流して泣き始めた私を見て、裕介くんは苦笑しながらサッと鞄からハンドタオルを取り出した。


「……ありがとう」


まさか、ここで泣き出すのも、ハンカチじゃ受け止めきれないくらい泣いちゃうのも……計算済みで……用意してた?



あまりの準備の良さに驚きながらも、溢れる涙を押さえながら、裕介くんに向かって頭を下げた。



ーー サプライズは気がつかない。



ーー きっと特別な事ほど、言葉を尽くしても私には伝わらないかもしれない。



ーー もう、二人だけの誓いじゃなくなってしまったけれど……それでも……







「…………よろしくお願いします」









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