after「恋がしたい。ただ恋がしたい。」
「﨑ちゃん先生、結婚するんだって!」
「えー?!」
「彼氏いたんだー」
「指輪してたよ。なんか、すっごい、キラキラしてた!」
「すげー!それって、ダイヤモンドじゃね!?」
「誰と結婚するのかなー?」
「なんか、純せんせーが『弟』だって言ってたよ」
「「えー!!」」
「崎ちゃんせんせー、純せんせーの弟と結婚するの?」
「じゃあ、大村先生が二人になるの?」
「じゃあ、じゃあ、崎ちゃん先生は、何先生になるんだろ?」
「香織だから、かおちゃん先生?」
「「……何か合わないね」」
「でも、純せんせーは純せんせーだよね。じゃあ、崎ちゃん先生が大村先生?……うーん、大ちゃん先生?」
「「「 ……何か違うね 」」」
***
ーー その後、純せんせーの言っていた『弟』が『友達の弟』だったって分かって、名字が『葉山』になるって聞いた子ども達は……
「じゃあ、『はやちゃんせんせー』かなぁ」
「えー、なんか言いにくい!」
「『山ちゃんせんせー』はー?」
「……芸人っぽくね?」
……なんて散々好き勝手に喋った後で、結局崎ちゃんせんせーは結婚してからも旧姓の『崎山』で先生を続けるって事が分かって、みんなで考えた新しいあだ名が使わる事はありませんでした
……という、ただそれだけのお話なのでした。
ちなみに、崎ちゃん先生の結婚相手が自分の友達の弟だとか、『葉山』っていう名字になるんだよーって事まで子ども達に聞かれるままにうっかり喋ってしまったおしゃべりな人は、崎ちゃん先生にまるで子どものように立たされたまま、階段の踊り場で叱られてしまった様です。
それを目撃した子ども達は、その後先生のご機嫌をこれ以上損ねないようにと頑張って、周りの先生達が驚くくらいに5年2組は一致団結したクラスになりましたとさ、というのがこのお話の本当のオチだったりするのです。
※ちなみに、某携帯会社のCMに引っかけて『鬼ちゃん先生』という、香織にとっては黒歴史同然のあだ名も↑を目撃していた一部の生徒たちの間で広がったらしいのですが、それが崎ちゃん先生の耳に入ることはなかったのでした。
***after② happy end ……?