dirty tear
この頃から、私は心の中で自由な空想の世界を描くようになりました。

心の中の私は、何でもできます。何にだってなれます。

勉強も天才のようにできて、アクション映画のように運動神経がよくて、たくさんの友達に囲まれている…。現実世界とは真逆の私を、空想の世界で描いて現実逃避をしていました。

空想の世界の中で、私は魔法使いになっていたり、その当時夢だった盲導犬の訓練士になっていたり、動物と会話ができたり、世界一の歌姫になっていたりと、現実ではあり得ないようなことも空想していました。

そして、勉強ができない、運動ができない、人望もないという現実を突きつけられた時に、悲しくなるということを繰り返していました。

小学校は四クラスだったのですが、中学生では六クラスもありました。友達とはバラバラになってしまい、私はクラスで新しい友達を作ることなく読書をいつもしていました。

クラスメートの記憶には、きっと私のことなんて残っていないでしょう。私は影のようにひっそりと生活をしていましたから。
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