dirty tear
「……助けて……。息が……」

私はそう言うのが精一杯でした。莉亜ちゃんは私を椅子に座らせ、落ち着くまで背中をさすってくれました。

その温もりが、何よりも温かくて安心しました。

呼吸がもとに戻った後、莉亜ちゃんに「何だったんだろ、これ…」と呟くと、「過呼吸じゃないかな」と莉亜ちゃんが教えてくれました。

過呼吸なんて、この時だけのことだと思っていました。



私は、何も知ろうとしていなかったのです。ADHDのことも、過呼吸のことも…。

だから、長く苦しむはめになったのだと思います。

過呼吸を、一度起こしたあの日から何度も私は過呼吸を起こすようになりました。

悲しい時、親と喧嘩をした時、苦しくなって過呼吸を起こしました。

親は、私の過呼吸を見て心配することは一度もありませんでした。親どころか、弟や妹すらも過呼吸を起こした私を「気持ち悪い」と言いました。

「演技やめろよ!」

「構ってほしいだけだろ!」

「お前のは過呼吸じゃない!」

何度も過呼吸を繰り返していると、息をコントロールすることができるようになっていったのです。それを見て両親は「演技だ」と言いました。

「本当に過呼吸なら、紙袋を使わないと戻らない」
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