dirty tear
「私は、自分には何もできないと思っていました。しかし、テレビで私と同じように引っ込み思案な女の子が、愛犬とドッグダンスの大会に出場するのを見て、私にもきっとできることがあると思いました。この学校でなら、私はきっと変われる。そう思っています」

先生は、とても微笑んでいて、私は手応えを感じながら教室を後にしました。

そして、高校合格発表の日。私や周りの人たちはみんな緊張していました。

先生が一人ずつ名前を呼び、一人ずつ廊下に出て結果を聞きます。みんなの口から出る言葉は、「緊張する」という言葉でした。

「美空」

私の名前が呼ばれました。私は緊張しながら立ち上がり、廊下に出ます。そして、先生から「よく頑張ったな」と紙を見せられました。

合格通知書……。私は無理だと言われていた高校に受かったのです。

しかし、その時の私は必死で合格か不合格の文字を探していました。私の通知書のイメージは、「美空さん、あなたは合格です」と書いてあるんだろうなと思っていました。

なかなか理解できない私に、先生が合格通知書の文字を指差して言いました。
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