俺様アイドルと秘密ちゃん
情緒不安定








その言葉が彼女には1番適しているだろう。










不気味な笑顔を浮かべながら立ち去る桃子を見送ったあと、緊張の時間が続いた。











「皆さん。お待ちかねの最優秀賞受賞者の発表を行います。」









司会者が、名前の書かれた封筒を開けると驚きの表情を浮かべた。








「そうですね。多くの人から愛され、期待されている方ですね!私もよくテレビで拝見させて頂いています。




今年の最優秀賞受賞者は、アリサさんです」













わーー、きゃーーー、歓声が耳に響いてくるはずなのに、無音に聞こえる。







何故だろう、期待していなかったはずなのに。






喜んでいる自分がいる。







ステージに上がる階段一段一段を喜びを噛み締めながら、上る。








ステージからの光景は何年ぶりだろうか。







ここまで頑張って来てよかった、そう思った。






今まで我慢していた涙が溢れ出る。


















受賞式は、幕を閉じた。







受賞者のインタビューが行われ、アリサの番が近づくにつれて観客の期待が溢れていく。








「サラ。おめでとう」








「ありがとう。まさか、取れるとは思わなかった」








「そうか?俺は期待してたけど」









「ありがとう」









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