あの日から、これからも。
「藍川遥妃。」

「……なに」

「今からお前は俺の彼女って事になるからお前をいじめるヤツらに関係を聞かれたら答えろよ」

「、うん」

そんなこんなで若生澄晴と、偽カップルになった。

守るって具体的にどうしてくれるんだろう。

なんでここまでして私の味方になってくれるんだろう。

不思議なことばかりだ。
さっきあいつから抱きしめて貰った感覚や温もりが今でも体全身に残っている。

「そろそろ授業始まる。行くか」

「うん」

「ほら」

若生澄晴は私の目の前に手を伸ばす。

「何よ」

「繋げよ」

「やだよ」

「は?」

「そこまでしなくていいでしょ」

「いいから」

彼は半ば強引に私の手を握り屋上を出ていく。

「お前って素直じゃねーな」

「っ…は?!」

「ふっ」

笑った。
普段はクールで物静かイメージのこいつ。

笑った顔初めて見た。

「ちょっ、帰ってきたよ 若生くんと藍川」

「なになに、手繋いでるんだけど」

「マジどーゆー関係だよ」

私とこいつが帰ってくるのを待っていたのか、廊下には沢山の女子がいる。

教室のドアは女子の軍団で溢れている。

「じゃあな。 また来る」

「う、うん」

彼は私の教室の前で軽く手を振り帰っていった。



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