Baby's Breath
エレベーターの扉が開くと何人かと目が合った。


でも次に愛空を見て笑顔になる。


「お、鹿野じゃん!」


「あー!先輩!お疲れ様っす!」


「お前この間告白されたってホントか?」


「誰から聞いたんですか?俺じゃなくて、同期のやつですよ」


相変わらず彼は人気者だな。


イケメンで、コミュ力が高くて、仕事も出来て……彼は同期の中でも一二を争う優秀な人。


この会社のほとんどの人と顔見知りだ。


そんな彼と私が付き合うきっかけは、同じゲームをしていたから。


リア充なのにゲームも漫画もアニメも好きなんて……世の中のオタクとは一体何なのか。


「てか俺、彼女いるんで」


「そうだ、お前、いい加減彼女の写真見せろよ」


その言葉に小さく反応してしまう。


見られたら、愛空の趣味を疑われてしまう!


青ざめていると愛空が笑った。


「だーから見せませんって。だって見せたら先輩絶対彼女の事好きになっちゃうし」


「そこまで言われたら余計気になるだろうが!どんな美人と付き合ってんだよ!」


「もう超可愛くて……毎日好きすぎて困るくらい愛しいです」


絶対私の反応見て楽しんでる……っ。


顔を上げられなくて俯いた状態でいると、私が降りる階に着いた。


早くでないと、心臓が持たない。


「それじゃあ先輩、早く彼女出来るといいですねー」


「余計なお世話だよ!!別れろ!!」


「残念!別れる予定はこの先永遠にございません。俺、離す気ないんで」


「鹿野ー!!」


「それではー!」


エレベーターの扉が閉まってエレベーターを見送る。


愛空は私の顔を覗き込んだ。


「という事なので、覚えといて下さいね?相原さん」


「……はい」


ドキドキして息が上手く出来ない。


愛空はクスッと笑うと歩いて行った。


本当に……私には勿体ない彼氏だ。

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