Baby's Breath
「愛空と一緒に居られないし、私って同期とも仲良くないから、きっと楽しくないんだろうなって思って」


「一緒に居られるって!」


「ううん、ダメ。一緒に居たら不審がられる」


「なんで?俺と付き合ってるって公言すればいいじゃん」


「ダメだって。愛空が変な目で見られるよ?今まで話してた人が愛空を遠巻きにして見て行くかも」


「俺は光希がいればそれで……」


「そう言ってくれるのは嬉しいけど、私は愛空が周りから疎外されたら嫌だ」


私がそう言うと愛空は納得できないように頬を膨らませた。


「愛空にはこうやって普通に話せるのに、どうして私は他に人には普通に出来ないんだろう」


自嘲気味に笑うと愛空は私の頭を撫でた。


「光希が我慢することなんて全くないのに」


「ありがとう、愛空」


「……これ、本当はもっとちゃんとした所で言いたかったんだけど」


「何?」


愛空は息をつくと真剣な顔をして私を見つめた。


「光希。俺と一緒に住まない?」


「え?」


何を言われたのか分からなくて固まる。


一緒に住むって……同棲?


愛空と、私が?


そう考えて真っ赤になる。


「俺も光希と一緒にいたい。今よりもずっと、毎日、四六時中。光希の料理毎日食べたいし、一緒にゲームしたいし、ずっと抱きしめてたい」


「な、何言って……」


「でもきっと光希はそう言っても簡単に頷いてくれないって分かってる。だから」


愛空がスマホを私に見せる。


そしていつも私達がやっているオンラインのゲームを開いた。


「このゲームで1on1して俺が勝ったら同棲するって事で」


「そ、そんなのズルい!!」


「ズルくないでしょ。むしろ光希にとって有利な話でしょ?光希は追いかける側のランカーなんだし、俺は逃げる側専門だけどランカーじゃない。光希の方が上手いんだから」


そうかもしれないけど……。


愛空が引かないのは知ってる。


気は進まないが私もゲームを起動した。


愛空と同棲したいけど、恥ずかしくて無理だと思う自分もいる。


だってこの綺麗な顔がずっと側にあるんだよ?


心臓どうにかなりそう。

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