続・俺が幸せにしてやるよ



とりあえず今は冷静にならないと。



いや、でも。



この時間帯、陽葵が夜食持ってきてくれる時間か。




コンコン



「はい」




条件反射で返事をパッとしてしまった。




心の準備しようと思ったのに。



「夜食持ってきたよ」



ドアの向こう側の陽葵は至って普通、か。



「·····いいよ、入って」



少し間が空いたけどなんとも思わないだろ。



陽葵が中に入ってきたのが分かる。



この状況になって気づくけど、陽葵の顔、見れない。




「そこに置いといて」



結局冷たい声しか出ない。



「食べないの?」



「⋯⋯勉強が一段落着いたら」



勉強なんて今見にも入ってないってのに。




「じゃあ、ここで待ってるね」




こんな日に限って、待ってるねって言葉が心に突き刺さる。



「いや、大丈夫」




「え?」


これ以上、一緒の空間にいるとダメになりそう。俺が。




「もう、戻れ。俺の気が散る」



「⋯⋯ごめんっ⋯⋯」


< 58 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop