滴と心
ふわりと香る春の匂い、開け放たれた窓から入る暖かな風が、カーテンをふわりと揺らす。
窓辺に寄りかかりながらアンダーリムメガネの背の低い女がそっと珈琲をすする。彼女は春風たんぽぽ。大学トップ、そして、この国でトップとも言われている、環境生命学科の2年生だ。トパーズの瞳がそっともう1人の部屋の人物へ向けられる。

「終わったわよ、次は何する?」

凛とした冷静な声を持つたんぽぽより少し背の高い彼女、火栗時雨。たんぽぽとは中学から同じ、彼女と同等の成績を持ち学科内では【最強の天才コンビ】として親しまれている。

「何にしよう、あ、そうだテラポッドについてまとめないと」

テラポッド。それは彼女が去年遺伝子操作実験で作り出した生命体だ、喋りはしないが動作がちょこちょこととても可愛らしい動きをし、なんにせよ、背中の羽根を動かして空中に浮遊してる。そして、活動源のエネルギーは日光の光で作り出している。
これは大学にとっても彼女にとっても嬉しいことだった。彼女は世界の生物学者から多大な評価を受けている。

「まずはこれを…」

ポツリと言葉を出しながら、ふわりと来ている白衣を揺らしながら机の上にあるたくさんの物の間からひとつの黄色のケースに入ったUSBメモリを出す。パソコンにそれを挿せばパソコンを起動させて、中に入った文書に目を通す、最後まで目を通せばカタカタとキーボードを叩いて書類を猛スピードで作り上げていく、背後で「うあっ」と引き気味に見つめながら時雨がコーヒーを置いた。


テラポッドはぼんやりと窓の付近で飛び回り。エネルギー源とする日光の光を集めていた。
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