ラブレター【完】
「だよね、鈴木」
透くんはわたしに視線を向けて言った。
「うん、そうだね」
透くんとわたしはわりと仲がいい。
それはわたしがこのクラスの副委員長だからで、透くんと2人で行動することが多いのだ。
きっと、ともちゃんの次に仲のいい男子。
あれ?
……そう言えばわたし、透くんに放課後ピアノを弾いている話をしたことがある気がする。
あれは確か、代表委員会が長引いて部活に出れなかった時だ。
「大丈夫?」と心配されて、「どうせ練習サボって第二音楽室でピアノ弾いてるだけだから」なんて答えたのだ。
今の会話で、透くんが音楽も詳しいことがわかったから、ショパンの雨だれくらい知っている可能性はとても高い。
あれ、透くんって身長どのくらいだっけ。
結構すらっと背が高い印象だ。
……ひょっとして、透くんが『雨だれ』さん?
うーん、でもこんなに頭のいい人が、わたしみたいなノー天気女子を好きになるのかしら。