ラブレター【完】
月曜日の放課後、『雨だれ』さんから来ていた返事は、前回より長めの文だった。
「きみが本好きなのは知ってるよ。
好きな食べ物?カレーライスかな。」
最初のラブレターの時からそうだけれど、『雨だれ』さんはわたしのことを「きみ」と呼ぶ。
でもそんな呼ばれ方、誰にもされたことがない。
これって、普段の呼び方を書いたらバレちゃうからなのかしら。
鈴木さん、鈴木、理奈ちゃん、理奈……。
呼び方はバラバラで、でもこの人だけがこの呼び方をする!というのはない気がする。
それより、わたしが読書好きなのを知ってる?
休み時間はわりと本を読んでいたりするから、同じクラスの男子ならみんな知っていそうだ。
星川先輩……というか、部活の男子は?
知っているのか知らないのか、全然わからない。
「わたしはお好み焼きが好きです。
でもカレーも美味しくて好き!
雨だれさん、 好きな色は?」
わたしはピンク色のチョークで、次の手紙を大きく書いた。
書きながら、自然と頬が緩む。
……変なの。
気づいたらわたしは『雨だれ』さんと黒板で文通をしていて、それを毎日とても楽しみにしている。