ラブレター【完】
昨日はともちゃんと2人で歩いた帰り道を、今日は1人でのんびりと歩く。
暮れかけた空はやっぱり不思議な色をしていて、とても綺麗だった。
歩きながら何度も考えてみた結果、わたしはどうやら『雨だれ』さんのことを本当に好きみたいだ。
今までの黒板でのやり取りを思い出してみたら、胸がきゅうっとなった。
大切な大切な宝箱を覗いたみたいな気持ち。
『雨だれ』さんが誰なのか、まだわからない。
でもなんとなく、この先彼の正体が判明しても、わたしは彼のことをやっぱり好きな気がする。
何の根拠もないけれど、なんとなく。
……でも、本当に誰なんだろう?
もう一度ゆっくり考えてみることにした。
まず、毎日顔を合わせるらしいから、同じクラスか同じ部活なのはたぶん間違いない。
身長がわたしより結構高い、でもわたしがそんなに大きくないから、そんな男子はたくさんいる気がする。
カレーが好き、青色が好き、夏が好き……明るくて元気な男子の印象だ。
でも、これは男子達にアンケートでも取らない限りは検証のしようもないから、一旦無視。
足が速い……体育は男女別だから、去年同じクラスだった男子のことくらいしかわからない。
趣味は読書、これも本読みそう読まなさそうというイメージくらいでしか判断できない。
あとは……そうだ、わたしが第二音楽室でピアノを弾くことを知っている人。