ラブレター【完】

集計の結果、2年生の優勝はなんとうちのクラスだった。

他のクラスはもっとしっとりとしたいい曲を選んでいたから、絶対に優勝なんて無理だと思っていたのに。

単純に、他のクラスより歌が上手かったのか、それともみんなやけに楽しそうに歌ったのがウケたのか。

とにかく優勝して、教室に戻ってからみんな大盛り上がりだった。

「鈴木のおかげだよ」

透くんはわたしにそう言ってくれたけれど、わたしはピアノを弾いただけで、指揮をした透くんや歌ったみんなの功績だと思った。

「みんなで頑張った結果だよ」とわたしが言ったら、透くんは

「鈴木のそういう所、すごくいいよね」

と笑った。

ドキッとした。

だって『雨だれ』さんかもしれない透くんが、わたしのこと「そういう所、すごくいいよね」なんて言うから。

わたしのこういう所を、好きになってくれたの?

思わずそう返しそうになったのを、必死で我慢した。

透くんが『雨だれ』さんと決まったわけじゃないもの。


放課後。

今日は部活はないけれど、第二音楽室に『雨だれ』さんからの返事を確認しに行こうと席を立ったら、ともちゃんが「ねえ理奈」とわたしを呼び止めた。

「なに?」

「途中まで一緒に帰んねー?」

「えっ…………う、うん、いいよ」

少しだけ用事があるから教室で待ってて、と言って、わたしは足早に第二音楽室へと向かった。

なぜか、心臓がバクバクと激しく暴れた。
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