ラブレター【完】
帰り道の途中にあるコンビニに寄って、アイスを買った。
わたしはチョコアイス、ともちゃんはサイダー味のアイスを選んだ。
おごり合うという話だったのに、レジの前で「俺が出す」「わたしが出す」って争って、結局じゃんけんで決めて、勝ったわたしが出した。
じゃんけん勝ったのにおごるのって、よく考えたら変だけど。
コンビニ前にちょっとしたベンチがあって、そこに並んで座った。
「はい」
サイダーのアイスをともちゃんに差し出す。
「サンキュー。じゃ、乾杯すんべ」
受け取ったともちゃんは、そのアイスの袋を開けると、こちらに突き出して言った。
「アイスで乾杯するん?」
「だって優勝祝いなのに、なんか乾杯しないとそれっぽくねーじゃん」
「あはは、そだね。乾杯!」
わたしはともちゃんのアイスに自分のアイスをコツンと当てた。
梅雨が目の前だからか、今日は気温も湿度も高くて体が少し汗ばんでいた。
でもアイスを一口かじったら、その冷たさですっと汗が引いていく気がした。
「チョコバーうまい?」
「うん、美味しいよ」
「んじゃ、ちょーだい」
ともちゃんはそう言うと、わたしが口元近くに持っていたアイスに顔を近づける。
「……!!」
ともちゃんの顔が、近過ぎて。
びっくりして……心臓が跳び跳ねた。
「すっげーあまい」
アイスをパクッとかじったともちゃんは、そう言って頬を緩めた。
「…………」
今度は、そのふにゃりとした笑顔に釘付けになった。
わたし……。
今までどうして平気だったんだろう。
ともちゃんは、これでもかってくらい「異性」なのに。
なんで平気な顔で、こんなに近くにいられた?
ともちゃんが笑っただけで、こんなに……ドキドキするのに。