ラブレター【完】

わたしがアイスを食べ終えると、ともちゃんは「じゃ、帰るか」と言って立ち上がった。

「うん」

わたしも立ち上がって、2人分のアイスのゴミをゴミ箱に放り込んだ。

そしてまた、自転車を押すともちゃんの隣を並んで歩く。

日が落ちて来たからか、それともアイスのせいか、学校を出た時よりもかなり涼しく感じる。

でもともちゃんを見るたびに感じる顔の熱だけは、全然冷めない気がした。

「理奈、今度さ」

もうすぐわたしの家の曲がり角という時、ともちゃんが口を開いた。

「一緒にプール行かね?」

「プール?」

「新栃木駅んとこに、1回500円で泳げるスポーツクラブがあんの」

「へえ!そうなの?いいなあ」

「うん。オフの間たまに行ってたんだけどさ。今度行かね?理奈も思いっきり泳ぎたいだろ?」

「うん!」

「じゃ、今度行こうな」

そう言って、ともちゃんは立ち止まった。

曲がり角に着いたからだ。

「うん、約束!……じゃね、ともちゃん。気をつけて帰ってね」

「おう、また来週な」

ともちゃんは自転車にまたがると、バイバイと手を振ってから勢いよくこぎ出した。

ともちゃんと一緒にプール。

早く行きたいなあ。

あっという間に遠ざかっていくともちゃんの背中を見つめる自分の頬が、すごく緩んでいることに気づく。

そっか、わたし……。

答えなんて、もうとっくに出ていた。


『雨だれ』さんのことが好きなのに。

それに、ともちゃんには好きな子がいるのに。

わたし、ともちゃんのこと、すごく好きだ。


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