ラブレター【完】
飛び終わったともちゃんは、座って見ているわたしの方になぜか歩いてきた。
「よっ、理奈」
わたしの隣にどっかりと腰を下ろして、あぐらをかいた。
「元気?」
「ん?元気だけど。なんで?」
「英語の時間ぼーっとしてたじゃん。珍しいなと思って」
「あー、なんかちょっと眠かっただけだよ」
気にしてくれたことは嬉しかったけれど、さすがに恋の悩みでぼんやりしてたなんて言えない。
しかもともちゃんは、わたしが好きな人、ご本人様なのに。
「そっか。元気なら安心した」
ともちゃんは笑って、わたしの頭をくしゃくしゃと撫で回した。
「もう!髪が乱れちゃうよ」
触れられるのは嬉しいのに、なんだか恥ずかしくてその手を払った。
つい可愛くない反応をしてしまう。
なんて天の邪鬼なんだろう。
「いつも乱れてんだろ、寝癖で」
「ひどーい!癖っ毛だもん」
「寝癖もついてるだろ」
「ともちゃんだって、こないだ寝癖で髪ぐちゃぐちゃだったもん」
「うるせー、ぐちゃぐちゃにしてやる」
ともちゃんがまた、今度は両手でわたしの髪をくしゃくしゃと掻き撫でた。