ラブレター【完】
「キャー」
突然、女子達の黄色い歓声が上がって、わたしは慌ててともちゃんから離れた。
ともちゃんとイチャイチャしてるから騒がれたのかと思ってしまったのだ。
前はそんなこと、気にもならなかったのに。
だって、ともちゃんとふざけるなんて、わたしにとっては何ともないことだったから。
今になって考えると、わたしはともちゃんのことをいいなと思っている子に、今までずっと恨まれていたかもしれない。
こんなこともわからなかったなんて、わたしってすごく子供だったんだなあとつくづく思った。
「すごいねー、委員長!」
「透くんって運動神経もいいんだねー」
「かっこいいー!」
しかしどうやら、さっきの黄色い声はわたし達に対してではなく、跳び箱を終えた透くんに対する歓声だったようだ。
「ねえ、2人共!すごいの委員長、前方倒立回転飛びしてた!」
すぐ近くにいたミカちゃんが興奮気味に話しかけてきた。
「へえ」
しかし、前方倒立回転飛びって何だろう、と思った。
なんとなくは想像できるけれど。
「あー雨宮ね。あいつスポーツ万能だからなー」
ともちゃんがうんうん頷きながら言った。
「えっ、透くんがスポーツ万能?」
わたしは驚いて聞き返した。
「うん。俺たぶん水泳以外勝てねーな。足の速さならさすがに負けないと思ったけど、スポーツテストで負けちったしなー」
「へえ!天寺くんが勝てないなんて、委員長ほんとに足速いんだねえ」
ミカちゃんが目を輝かせている横で、わたしは全く違うことに驚いていた。
……透くんが、運動得意で足もすごく速い?
また『雨だれ』さんの条件に当てはまった。