ラブレター【完】
それにしても、『雨だれ』さんの真意がわからない。
わたしに見つけてほしいのか、それとも見つかりたくないのか。
そもそも、どうして第二音楽室の黒板で名前を隠して告白なんて、すごく回りくどいことをしたのだろう。
毎日顔を合わせているのなら、直接好きだと伝えてくれればよかったのに。
何か、直接告白したくない理由があったとか?
たとえば……今の関係を崩したくない、とか。
もしそういう理由なら、少しだけ理解できる気がする。
わたしもともちゃんに、好きって言えないもの。
だって、ずっと側にいたいから。
……もし、わたしが3日以内に『雨だれ』さんの正体をちゃんと突き止めたら、わたしはこれから『雨だれ』さんとお付き合いすることになるんだろうか?
『雨だれ』さんはわたしのことが好き。
わたしは『雨だれ』さんが好き。
いわゆる両想いなんだから、きっと付き合うことになるはずだ。
それはつまり、透くんか星川先輩と付き合うってこと。
2人のどちらが『雨だれ』さんでも、わたしにはもったいないくらいの素敵な人だと思う。
でも……。
自分の中にある余計な気持ちに気づきさえしなければ。
わたしは素直に喜んでいたし、付き合うとなれば浮かれまくったに違いない。
……ともちゃんが『雨だれ』さんならよかったのに。
今は、そう思っている自分がいる。