ラブレター【完】
6:ふりだしに戻る
火曜日。
とにもかくにも、今日明日で『雨だれ』さんの正体を暴かなくてはいけない。
星川先輩なのか、それとも透くんなのか。
昨日の夜、どうしたら正解がわかるのか一生懸命考えたけれど、結局何も思い付かなかった。
ただ寝不足になっただけだ。
「……色は匂へど、散りぬるを……」
ぼんやりと授業を聞いていたら、ふあぁ、と大きな欠伸が出た。
こんな眠い時に古文なんて、見知らぬ異国の言語にしか聞こえない。
気を抜いたら落ちてしまいそうだ。
……いやいや、居眠りしている場合じゃない。
わたしは両手で頬を軽くパンッと叩いた。
わたしには、考えなきゃいけないことがある。
どうやって『雨だれ』さんを断定するか。
なにかいい方法はないだろうか。
……。
とりあえず、もう一度、初めから情報を整理してみよう。
わたしはノートのいちばん後ろのページを開いた。
そして縦に2本線を引いて、ページを3分割した。
左に「条件」真ん中に「先輩」右に「透くん」。
左の「条件」の下に、自分が知っている『雨だれ』さんの情報をどんどん書き出してみる。
毎日会う/ピアノの件/読書好き/青が好き/夏が好き/カレーが好き/犬が好き/足が速い/名前
そして、当てはまるものに○を付けていった。
…………ダメだ。
全く同じ所にしか○が付かない。