ラブレター【完】
放課後、部活に行く前にとんでもない事件が起きた。
帰り支度をしていたら、
「天寺~、お客さん」
目の前の席で同じように帰り支度をしていたともちゃんに、男子から声がかかった。
入り口に目をやると、隣のクラスの女子が少し恥ずかしそうに俯いて立っていた。
「お?おう」
ともちゃんはわたしに「じゃあな」と言って、入り口に向かって歩いて行った。
そして、その女の子と2、3言何か話してから、そのまま一緒に廊下へと消えていった。
……なに、あれ。
胸がざわざわした。
もしかして、一緒に帰ったんだろうか。
でも、ともちゃんは今から部活だ。
あ、あの子も水泳部で、一緒に部活に行ったとか。
いや、それはおかしい。
わざわざクラスまで迎えに来て、一緒に部活に行く理由がわからない。
じゃあ今のは何なんだろう。
そしてわたしは、最悪な可能性に辿り着く。
……もしかして、付き合っている、とか?
あの子がともちゃんの好きな子で、わたしが知らない間に告白していて、うまくいって……可能性は充分にある。
そんなの、そんなの……。
「やだよ……ともちゃん…………」
ともちゃんはとっくにいない入り口を呆然と見つめたまま、わたしは思わずそう呟いた。
「今の、気になるの?」
すぐ隣からそんな声がして、わたしは驚いてパッと見上げた。
「鈴木ってやっぱり、天寺のこと好きだよね」
いつの間にか隣に立っていた透くんが、真面目な顔でわたしにそう訊いた。