ラブレター【完】
雨が激しくなったような情熱的なセクションを経て、すごく切ないメロディアスなパートに入る。
この曲のここが一番好き。
弾きながら、泣きたくなるくらい切なくなる。
泣きたくなるくらい切ないなんて、音楽でしか知らない感覚だけれど。
もし恋をしたら、こんなに胸が苦しくて泣きたくなるくらい切なくなるのかな。
「きみのことが大好きです」
もう消してしまった黒板の言葉を反芻してみたら、さっきはきゅんとしたのに、弾いているメロディのせいか、とても切なくなった。
『雨だれ』さんはどんな気持ちで、この言葉を黒板に書いたんだろう。
……探してみようかな、『雨だれ』さんを。
「『雨だれ』さん、あなたは誰?」
雨だれのプレリュードを弾き終えたわたしは、黒板にでっかくでっかく書いた。