ラブレター【完】
7:あさきゆめみし
水曜日。
明日の放課後までに『雨だれ』さんを突き止めないといけないのに、ふり出しに戻ってしまった。
完全に迷宮入りだ。
どうしたものだろう。
ため息をつきながら、教室のいちばん後ろの自分の席に座った。
最近、ため息ついてばかりだ。
ともちゃんはまだ来ていなかった。
彼は朝いつも、わりとギリギリに教室に入ってくる。
……ともちゃんと言えば、昨日のあの子。
確か、隣のクラスの……小松さんだっけ?
小学校別だし全然よく知らないけれど、すごく可愛い子だ。
やっぱり、ともちゃんの彼女なのだろうか。
……あーあ。
『雨だれ』さんは迷宮入りだし、ともちゃんには彼女がいるみたいだし、何もいいことない。
今日は久しぶりに晴れている窓の外を見ながら、はぁ、とまた深いため息が口から漏れた。
「なに朝からため息ついてんの?」
そんな声に視線をやれば、登校して来たともちゃんがちょうど席につく所だった。
今日は教室に来るのが意外と早い。
「……おはよ」
「おう。あ!そうだ、理奈。聞いて!俺、昨日さあ」
彼女ができた話でも自慢されるんだろうか。
だとしたら、わたしさすがに可哀想過ぎる。
「……なに?」
「隣のクラスの小松に、告白されちった」
ともちゃんは「イエーイ」とピースをした。
ムカつく。
その満面の笑顔をひっぱたいてやりたい。