ラブレター【完】
……でもそうか、あれは告白の呼び出しだったのか。
わたしが透くんに告白されているまさにその時、まさかともちゃんも小松さんに告白されていたなんて。
本当にこの恋はうまくいかないようにできているらしい。
あ、でも、2人は付き合っていたわけじゃないんだ!
一瞬テンションが上がりそうになった。
けれど、告白の返事によっては結局そうなることに気づいて、また気分は急降下した。
ともちゃんは何て返事したんだろう。
すごく気になったけれど、聞くのも怖い。
結局「ふーん」と気のない素振りで返事を返す。
こんな話、早く終わればいい。
そう思ったのに、
「なんだよ、もうちょい興味持てよ」
ともちゃんは眉を寄せて、わたしのおでこを指でピンッと弾いた。
「イタッ!」
話を聞くしかないようだ。
「……あーもう!じゃあ、それで?ともちゃんはなんて返事したの?」
わたしが渋々尋ねたら、待ってましたとばかりに、また満面の笑みを浮かべた。
本当にムカムカする。
「それがさ!なんと、俺……」
どうせ「彼女できちゃったー」とか言うんでしょ。
どうしてわたしがそんな残酷な報告、受けなきゃいけないんだろう。
「断っちゃいましたー!」
でも、ともちゃんは予想とは全く逆の答えを口にしたのだ。
「はあっ?!なんで?!」
思わず目を丸くしたわたしに、ともちゃんは満面の笑みで答えた。
「だって俺、好きな子いるし!」
……ああ、そうだった。
それが小松さんじゃなかった、というだけのことだ。
あーあ、朝から憂鬱が留まることを知らない。
ともちゃんの言葉に何か返さなくちゃと考えていたら、チャイムが鳴って先生が入ってきた。
小松さんフラれちゃったんだ。
めでたく恋のライバルが1人減ったわけだけれど、昨日の透くんの切ない笑顔を思い出して、全然喜べなかった。
それに、ともちゃんに好きな人がいる以上、わたしも告白したら、小松さんと同じ運命を辿るのだ。
叶わない恋なんて、切なくて苦しいだけだ。
いっそ嫌いになれたらいいのに。
本当に、うまくいかない。