ラブレター【完】
あっという間に放課後になった。
水曜日が終わってしまうというのに、『雨だれ』さんが誰なのか、皆目見当もつかない。
どうしていいかわからないまま、とりあえず第二音楽室を覗きに行った。
昨日の「全然わかんない!」というわたしの残念なメッセージに対して、『雨だれ』さんがどう出るのか気になっていた。
もし『雨だれ』さんが本気で自分に辿り着いてほしいなら、きっとものすごく簡単なヒントをくれるはず……そんなズルい考えもあったのだ。
ズルはしたくないなんて、そんなことはもう言っていられない。
だって、名前が最大のヒントだと思っていたのに、名前に雨がつく透くんも星川先輩も違った。
もうわかるわけがない。
第二音楽室の黒板には、ピンク色のチョークでメッセージが書かれていた。
「しょうがないなあ。
鈍感なきみに、最後のヒントあげるよ。
あさきゆめみし」
どうやら、わたしの狡猾な目論みは成功したらしく、『雨だれ』さんは最後のヒントをくれた。
ヒントは……「あさきゆめみし」?
…………。
……どうしよう、やっぱり全くわかんない!