ラブレター【完】
2:奇妙な文通
今日も朝から雨。
梅雨入りは確かまだ先なのに、最近雨続きだ。
雨って言えば昨日の放課後、第二音楽室を覗いてみたけれど、残念ながら『雨だれ』さんから返事は来ていなかった。
バカみたい、と黒板に書いたメッセージを消そうと思ったけれど、やっぱりやめた。
おとといの昨日だし、『雨だれ』さんはまだ見てないのかもしれない。
昨日は第二音楽室に来なかったとか。
そもそも、わたしも昨日は普段第二音楽室でピアノを弾かない日だ。
別に特に理由ないけれど、あそこのピアノを弾くのは月、水、金と決めている。
もし『雨だれ』さんがわたしのピアノをいつも聴いているのだとしたら、彼も月、水、金しか現れないのかもしれない。
今日は返事来るかなあ。
それにしても、本当に誰なんだろう。
……このクラスにいたりして。
授業中、さりげなく教室を見渡してみたけれど、同じ制服の後ろ姿ばかり眺めても、なにもピンと来なかった。
わたしの席は窓際のいちばん後ろなのだ。