ラブレター【完】
推理に何の進展もないまま、放課後になってしまった。
進展なんてするはずもない。
だって『雨だれ』さんの正体として考えたのは、結局、透くんと星川先輩、そしてともちゃんの、たった3人だけ。
なのに、この3人が違うのだ。
もはや完全に行き詰まった。
暗黒迷宮の最下層だ。
今さら他の男子を候補として考え直す時間なんて、もう残っていない。
クラスメイト達がみな部活に行ってしまっても、わたしは1人、教室に残って外を眺めながら、どうしようどうしようと唸っていた。
でも唸ったって、わからないものはわからない。
仕方ない、黒板には素直に「ごめん、やっぱりわからない」って書こう。
部活にも顔を出さなくてはいけないので、わたしはようやく重い腰を上げた。
「……あれ?」
ずっと窓の外を眺めていたから、今まで気づかなかったけれど、目の前の座席、ともちゃんの机の上に、本が1冊置いてある。
忘れ物だろうか。
近づいてみたら、それはこの間ともちゃんが読んでいた「error」というマンガだった。
マンガなんか忘れて、先生に見つかったら没収されちゃうのに。
せめて机の中に閉まってあげよう。
面白いのかなあ。
確かミステリーだって言ってた気がする。
何の気なしに、ページをめくった。