ラブレター【完】
「ほんっとお前って……。はいはい、わかりました。ちゃんと言えばいんだろ」
彼はぶっきらぼうに言って、それからきゅっと口を一文字に結んだ。
真っ直ぐにこっちを見つめる瞳が、夕焼けを映して真っ赤に燃えていて、すごく綺麗だ。
すごくドキドキする。
本当に、どうして今まで平気で一緒にいられたんだろう。
彼の固く結ばれた唇が、ゆっくりと開いた。
「理奈」
彼が、いつもよりワントーン低い声で、わたしの名前を呼んだ。
「俺、理奈が好きだよ」
「…………うん」
「理奈は?俺のこと、好き?」
「うんっ…………大好きだよ、ともちゃん!」
わたしがそう答えたら、ともちゃんは見たことないくらい真っ赤な顔で、でもとても幸せそうに笑った。
「ともちゃん、顔真っ赤」
「うっせー!これちげーから。夕焼けだから」
「ふふふ、照れちゃってカワイー」
「ちっ………………あ、理奈。あれ見てみ」
ともちゃんが急に、窓の外を指差した。
「なに?」
その指につられて、窓の方に視線をやる。
「えっなに?別になんにも……」
その時、わたしのほっぺたに、なにか柔らかいものが触れて、チュッと軽い音を立てた。
「……………………えっ……い、今のって……」
「どうしたん?顔真っ赤じゃん」
ともちゃんはいたずらが成功したワルガキみたいに、勝ち誇った顔で笑った。
昔から変わらないそんな所も、大好き。