ラブレター【完】
「うんうん、で最後の1つは?」
「えっと……なんで直接言わないで、正体隠して黒板にラブレター書いたのかなって」
「あー、なるほどね。わかんないことって、それで全部?」
わたしはこくりと頷いた。
「じゃあ、ひとつずつ順番に答えるわ」
ともちゃんは他人事みたいに淡々と言った。
「えーっと……ピアノのこと知ってたのは、部活がない冬の間、第二音楽室でよく本読んでたから」
「え、そうなの?なんであそこ?」
「理由?……そんなの恥ずかくて言えねーよ」
「えー、聞きたい!」
恥ずかしくて言えないって何だろう。
もしかして、音楽室にわたしがいるから、近くにいたかった……とか?
なんて、そんなわけないか。
「絶対やだ。で、なんだっけ。あ、メッセージか。やり取りが始まってからは、朝登校してすぐ書いてたな」
「そうだったんだ!だから教室来るの、いつもあんなギリギリ」
「そう。放課後は部活も始まったしな」
「そうだよね。……いいなあ、泳ぎたいなあ」