ラブレター【完】

「うんうん、で最後の1つは?」

「えっと……なんで直接言わないで、正体隠して黒板にラブレター書いたのかなって」

「あー、なるほどね。わかんないことって、それで全部?」

わたしはこくりと頷いた。

「じゃあ、ひとつずつ順番に答えるわ」

ともちゃんは他人事みたいに淡々と言った。

「えーっと……ピアノのこと知ってたのは、部活がない冬の間、第二音楽室でよく本読んでたから」

「え、そうなの?なんであそこ?」

「理由?……そんなの恥ずかくて言えねーよ」

「えー、聞きたい!」

恥ずかしくて言えないって何だろう。

もしかして、音楽室にわたしがいるから、近くにいたかった……とか?

なんて、そんなわけないか。

「絶対やだ。で、なんだっけ。あ、メッセージか。やり取りが始まってからは、朝登校してすぐ書いてたな」

「そうだったんだ!だから教室来るの、いつもあんなギリギリ」

「そう。放課後は部活も始まったしな」

「そうだよね。……いいなあ、泳ぎたいなあ」
< 78 / 90 >

この作品をシェア

pagetop