最上階ロマンス
が。。はね起きた…自分の姿を見て、イヤでも覚醒に引きずり込まれた…。。昨日、琢磨の家のダイニングルームのソファで横になってしまった…までは覚えている…

が、いま自分がいる場所は、明らかにベッドの上だ…。。その上、スリップと下着しか身に付けていない…、またもや悲鳴に近い声が出そうになった…

「お前さ、なんか勘違いしてたらイヤだから最初に言っておくけど。
俺、寝てる女を襲う程、飢えてないから。服、シワになるだろうから脱がせただけ!
て、それより…お前、意外と…重かった…」

その、言葉に…返す言葉も見当たらない…

「…あ~…! そっか…」
《ソファから、運んでくれたのか…。なるほど…っ!

で、【重かった】って、酷い…っ。》

と、微かにショックを受けている様子の実咲に、琢磨は、吹き出しながら…

「松永って、面白いよな? 前、そんなだったかな?」

そぅ、笑顔を見せた…

それだけで、実咲の胸元はドキン…とした…

それは、意識しすぎて…、極力、ドジ踏まないようにしてたからだよ…と、言いそうになったが、止めた…


琢磨がベッドから出、着替えを済ませる…のを見ないよう…背を向けた…

「……っ」
《緊張する…。。

すぐ…近くで、寝起きされるの…初めてじゃないのに…、。

私の心が、あの頃に戻ってしまったみたいに…


こんなの…、可笑しい…》


「松永…」

そぅ、名を呼ばれ…、肩先に触れられた…。。微かに…その触れられた肩先がビクっと跳ね上がった…

「…あ…っ」

振り返った実咲…、琢磨もその実咲の反応に…微かに驚いているようだ…

が。。

「今日、出かけるけど。。お前も来て…」

「…っえ…?」

琢磨の言葉に、身体を起こした実咲…。。そのシーツの上にバサバサ…と、置かれた数枚の書類…

「契約書!」

その言葉に、両目を見開く…。。すぐ様、その書類を目にする…

「【契約書】!」
《えっ? なに? ソレ…っ!》

その書類には、琢磨が実咲を《妻》として、雇用するに当たり…月の給料や食費や雑費などに関しての金額と。。妻として、求める事柄…が事細か…に書かれ…

「…【出会ってから、結婚に至るまで】って。。
これ、私に演技しろ!ってこと?」

そぅ、驚きの声を上げる実咲に…

「お前、じゃ…借金の相談に来た!って、言えるのか~?」

「…い…、言えないけど。。」
《そうだけど…。。

ソレって、詐欺ではないのかな?》

頭の中で、脳内革命を繰り広げている実咲に…

「別に…、慈善事業だと思えばいいだろ?
俺には、【妻】という役割をしてくれる人が必要。お前だって、【住む場所と金が必要】。
理にかなってる!」

琢磨の言葉に、納得しざるを得ない…

「まぁ…、ちょっとの間だし。」
《助けてもらうんだから…、文句言えないか…っ

しかし、【妻として】求めるモノって…》

その項目に…、瞬きを繰り返す…

性格や、それまで生きてきた環境は、昨日話した実咲の設定と同じ…。。てっきり、琢磨の理想の女性を書き連ねているかと思っていた…

1年前、実咲が務めていた派遣先会社に、法律事務所から顧問になり、再会した…とある。

それらをまじまじと見つめ…、そのエピソードに微かに頬を赤らめる実咲に…

「お前、いつまでそのカッコでいるの? 襲って欲しいのか?」

その言葉に、実咲はその声に、声がした方に視線を向ける…





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