最上階ロマンス
「じゃ! 暴露しようかな?
俺、お前のこと、好きだったよ…」

そぅ、イタズラでもするかのような…琢磨の言葉に
悠は両目を見開く…

「はっ? なに? いきなり…」

瞬時に、後ずさろう…とする悠。。琢磨は笑い声を上げながら…、その悠の悠に顔を近づけ…

「だ~か~ら! あの人に協力した!
ゲイじゃないけど…、お前に対してはどういうワケだか、征服欲があったのか…。若気の至り?
て、なに、その反応…? 何回もやってんのに…?」

あからさまに…あっけらかん…とにそう言う琢磨に、悠は言葉を失う…。。何とか、平静を保っているのがやっとだ。。

【今…だから。。】言える話かもしれないが。。

「なんで、今更…。」
《でも…、そういう理由なら…

コイツの行動も、何とか…予想がつく。。

…何とか…っ》


その、悠の反応にほくそ笑んだ琢磨は…

「まぁ、あの姉さんが意外とお前に本気で惚れてたってのは事実だし。瑞希ちゃんだって、お前のそういうの受け入れるのには、相当な覚悟があって!…だと思うが。。」

全く…、的を得た琢磨の台詞に、悠は何も言い返せない…

「…分かってるよ…」

「あの子が、必死に…お前のことを想っているのを目の当たりにして…、これはな…と、思った」

琢磨は、瑠樺や他の女性たちと笑顔で話している瑞希に視線を向ける…

それは…、5年前に…、悠が奈都子に捕らわれていたのを…身を呈して逃がそう…としたことを言っていることが悠にも分かった…

「あの、ボイスレコーダーだって…あの人やお前をゆするネタになるかと思ってたし。」

琢磨が、証拠としてとっておいたボイスレコーダーは、弟の悠を拉致監禁していた奈都子の物的証拠となっていた…

「…感謝してる。そこの点に関しては…」

「俺も、あの子に会って…、影響受けた。
それは、お前だけじゃない」

「……」
《それは、分かってる…

あの時の自分は、瑞希がいなかったら…

いま、こうして…生きてはいないだろう…》


「一緒に暮らして…5年だろ?
その年月って、女にとっては、倍以上の時間に感じる…んじゃないのか?
まぁ…、ノンビリしてたら…横からかっさわれるかも?…って、ハナシだょ」

琢磨は、悠の肩をポン!と叩き…

「さて! 花婿をからかいにでも行くかな?」


そぅ…、今まで言えずに…伝えずにいた事を、言えたからか…琢磨は、いつにも増して機嫌よく…式場の控え室の方へと歩いて行く…アレから、微かに、左足を引きずるように歩くようになっていた…

琢磨は、悠や雅人と同じように…中学・高校…とバスケをやってきた…大学でもバスケのサークルに入っていた…が…、その足の影響で辞めざるを得なくなったのだ…

その、背中を見送りながら…

「……」
《アレから…、

俺は、大学を受け直す為に…、夏休み明けに大学を辞めた…

漆原は、ふた月、入院し…リハビリをし…、1年休学していた。。今でも少し足を引きずり気味に歩く…


その足を見る度に思う…。。

自分がもっと…、早く…どうにかしていられたら…と。。

もっと…、最善な方法があったのではないか…?と。。

漆原も、あの事を話すのに…今までの時間が必要だった…

自分だけが…、彼女がいてくれたというだけで、

幸せな時間を過ごせてこれた…


本当に、幸せになってもいいのか…?》










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