鬼遊び ーオニアソビー
姫花は化粧ポーチの中からキラリと光る物を取り出していた。涙でかすれてよく見えない視界はそれが何か察する事ができなかった。

「さぁ、恵美ちゃんっ。あなたは今日から私のお人形よっ。持ち物にはきちんと名前書かなきゃねっ。」

「う、うううううー!」

「えっ!?なぁに??そんな事したって洗えば消えるっていいたいのぉ?恵美ちゃん、まだ気付いてないんだぁ。フフッ。」

「ううっ…!?」

「まぁ、知らぬが仏かもねぇ…。フフッ。」

「う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ーっ!!!」


姫花が握りしめていた物はカッターナイフだったのだ。


姫花が私の腕にそれを押し付けている…。

その度に生暖かい液体と声にならない悲鳴が絶え間無く溢れ出した。先程よりさらに視界を奪って行く涙と肌を伝う血、体と心に走る激痛から私の意識は徐々に遠退いて行った…。
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