アタシに付きまとう彼が愛おしい

「先生、昨日の事件は私がやりました。クラスメートに虐められて苦しかったです…ごめんなさい」


葵の謝罪と本音を泣きながら認める姿を見て、アタシまで泣いて、2人で先生に謝った。


「葵、勇気を出してくれてありがとう」


これできっと、葵も少しは楽になったはず。アタシはそう信じていた。


「苦しかったね。でも西内さんは、あなたの為に一緒に泣いてくれる素敵な友達がすぐ側にいるんじゃないですか」


これで一件落着したと思ったのに…




次の日、葵はアタシに一言もなく転校していった。それを知って大泣きしたのを今でもハッキリ覚えている。


あの日から葵と連絡を取れないまま、アタシたちは高校生になった。


あの事件からもう2年半。

葵を忘れる事はなかった。



進路決めの事で毎日忙しくなる時期に夏休みに入ろうとした。



夏休みの課題は、2学期が始まる日の前日にオールで終わらせるタイプなんだよね、アタシは。


だから課題する気なんて全然ないんだよね…



とりあえずスタバ飲みたいな…



ってことは、夏休みの1日目は最寄駅の近くにあるスターバックスに寄った。


うーん…どれにしようかな。


ダークモカか、キャラメルマキアート…


どっちにしようかな…


「お客様、ご注文をどうぞ」


やっぱ、これだね!



「ダークモカでお願いします」


「かしこまりました。サイズはお決まりですか?」


「トールサイズです」


「かしこまりました。あちらでお待ち下さい」


結構悩んで、結局はダークモカにした。


学生ににしたら、スタバは高い方だと思う。
だけどそんなのどうでも良くて、よく飲みに来る。


だって美味しいもん。


「お待たせま…」


「えっ…」


「あっ、ダークモカでございます。レシートはお持ちですか?」


「ダークモカを頼みました…すいません、レシートは捨ててしまって…」


「大丈夫ですよ、ホイップを多めにしましょうか?」


アタシがホイップが好きってことを覚えていたんだね…


「あ、いえ…大丈夫です…」


それより、何で…


「ストローはこちらになります」



「ねぇ…」



「ごめんね。後1時間で上がれるから待てる?」


「うん、分かった」


ダークモカを受け取って、好きな席に移動する。


1時間でインスタやTwitterをチェックしたり、YouTubeで韓国ドラマで時間を潰した。


うーん…やっぱ美味しい。

ダークモカは最高だよ!

今度はキャラメルマキアートを飲もう…


「お、祐華か?」


え、誰…?



後ろからアタシに声を掛けてきたのは…


「健永くん!」


川嶋健永〈カワシマケント〉

この人はアタシの幼馴染。


健永くんは、4歳からずっと一緒に過ごしてきた。

学校もずっと一緒。

アタシの事は誰よりも1番理解してくれる。

何かあってもアタシのそばにいてくれる。

アタシからにしては、自慢の幼馴染。


「おう、1人で何してんの?」



「会いたかった!」


と言っても、学校で毎日会えるんだけどね。


学校以外に会うと余計にテンションが上がるんだよね!




< 12 / 61 >

この作品をシェア

pagetop